会報第4号

もくじ
平成15年度年次総会開催
=講 演 会 要 約=
  ・演題:「思考とわかち合い」
    ・講師:長崎販売士協会 富永会長
新年度協会活動へ積極的にご参加をお願いします
新年度に臨んで
小売業をサポートする集団・専門家の派遣事業について
今後の協会活動に思うこと
「流通業支援プロジェクト」成功に向けて
総務副委員長として協会活動へ参加
スーパーには科学がいっぱい
お客様へのお役立ちに必要なこと、社内をあげて



〜平成15年度年次総会開催〜
 日 時  4月12日(土)14:00〜17:00


 場 所  福岡商工会議所


 第一部  総会議事   14:00〜14:35


 第二部  講演会    14:45〜15:45
   ・演題:「思考とわかち合い」
   ・講師:長崎販売士協会 富永会長


 第三部  懇親会    16:00〜17:30


 発足2年目を迎えた当福岡販売士協会の年次総会が、4月12日(土)の午後、福岡商工会議所において開催されました。
 当日は、事業年度初めの多忙な時期にも拘わらず、会員37名の出席と福岡商工会議所様並びに長崎販売士協会様からの来賓の方々6名のご参席もいただき、総勢43名の皆さんによる大変活気のある総会になりました。
 今総会は、少しでも和やかな雰囲気で活発なやりとりが行われるようにとの願いを込めて、先の新春懇談会での女性会員による司会(仙波敬子さん)が好評であったことから、広報委員会で副委員長を務めて下さっている谷川由美さんに 登場願い、第一部から第三部まで全ての進行を担当していただきました。

 【第一部総会議事】
 定刻の午後2時に始まった総会議事では、冒頭の挨拶で、栗川会長から2年目に向っての本総会が盛況裡に開催できたことへの感謝の意が述べられた後、年初に行ったアンケート調査の結果を含め、昨年度全体の活動を踏まえての「会則変更」 「新役員体制」「14年度活動報告」及び「15年度活動計画」等の議事が提案され、審議の結果、出席会員全員の賛同を得て了承されました。
 また、「14年度会計報告」並びに「15年度予算」に関しても、藤田理事から報告と提案内容の説明がなされ、小野・濱村両監事による監査結果の報告があり、いずれも全会一致で了承されました。
 なお、本会報の紙上では議事の詳細は省略させていただきますが、当日止むなく欠席された会員各位には、別途本総会議事関連の資料をお届けしますので、是非ご覧下さるようお願いいたします。

【第二部 講演会】
 休憩をはさんで行われた講演会では、当協会が設立に向けての準備段階から何かとご支援をいただいてきた長崎販売士協会の富永会長に「思考とわかち合い」と題しての講話をいただきました。
 お話の内容は、昭和57年の設立以来20年の永きに亘って、歩んでこられた数々の体験を基に苦難の時期を乗り越えてこられた経緯や今日までの発展の歴史をあるがままに語っていただき、本当に参考になりました。
 私達福岡販売士協会も、先輩協会“長崎”をよいお手本に着実に進んでいけるよう努めていきたいと思いますので、会員の皆さんの積極的な活動への参加をよろしくお願いいたします。
 ※ご講演の要約については、別記欄をご参照下さい。

【第三部 懇親会】
 懇親パーティのスタートは、来賓としてご出席いただいた福岡商工会議所・企業研修センターの久保部長から「現下の厳しい環境にめげず、当協会が初期の目的に向かって前進されるように」との主旨のご挨拶をいただき、濱村監事の当協会発展への思いを込めた挨拶と威勢のよい乾杯の音頭で歓談に入りました。
 皆さんすでに、この1年間の種々の集いの中で幾度となく顔を合わせてこられた間柄の人が多く、お互いに歓談が尽きることなく、盃を交わし合っておられました。また、途中司会の谷川さんから、新入会員の皆さんや来賓として同席いただいた方々に対し、突然の指名があったりして、皆さん、一瞬とまどいを見せられたものの、見事に愉快なご挨拶や、大変教訓になるお話を披露していただくなど、予定していた1時間半がまたたく間に過ぎてしまった感がありました。
 会の最後は、石原副会長から「本年度の活動を推進していくに当っては、私達福岡販売士協会がめざす夢と目的に向かっていくプロセスを大切にし、みんなが楽しみ励みになるようにしていきたい。そして、その結果が、この福岡の地域社会やその中での流通業界の発展に貢献できるような姿になれば」との挨拶があり、恒例の“博多手一本”で締め散会いたしました。

以上

(石原 義曠 記)




=講 演 会 要 約=
演題:“思考とわかち合い”
講師:長崎販売士協会 会長 富永 広道氏


(1) 福岡とのおつき合いのはじまり
 平成13年12月、たまたま、福岡の発起人となられたメンバーの方々と、当協会の者が、東京での登録講師の養成講習会を受講していたことが縁となり、福岡での協会設立の意向を知って、色々相談もお受けしたりしていましたが、その後の動きの早さと半年足らずの間に発足にこぎつけられた熱意とパワーに驚かされました。
(2) 長崎における協会の誕生とこれまでの経緯
 私達の協会は、昭和57年7月に、今は故人となられた長崎総科大教授の石水先生の提唱により設立され、今年でちょうど満20年を迎えた。今、振り返ると、設立当初は年1回の総会程度で事業という事業は殆んどできず、3級の夜間講座くらいで終わっていた。とても福岡のような活動には到っておらず、貴協会に敬意を表したい。紆余曲折の道を歩みながら、今のような活動が活発になったのは、ここ4〜5年のこと。その原動力は若い会員達がヤル気になってくれたお蔭だ。
(3) 最近の主な活動
 現会員数は80名で、ここ10年以上増減なく推移しているので、予算も逼迫していて、協会単独で実施できる事業活動が限られているのが実態。
 従って、地元商店街や商工会議所の力を借り、連携を強めながら活動を続けている。参考までに最近の主な活動をいくつかご紹介すれば、次のとおり。
 @ 接客販売勉強会(H14-9-26アークホテル)
当協会の女性会員に講師(2名)を務めて貰い実施。内容は、お客を気持ちよくお迎えする心構え、あいさつとアプローチの仕方、上手な会話の進め方6か条など。会員及び商店街から約60名参加。
 A ラッピング講習会(H14-11-20アークホテル)
 長崎商工会議所及び浜ん町商店街との共催で実施。「ラッピング基本とクリスマスラップ」をテーマに、講師は実際に店頭に立って実践している女性社長にお願いし、実演と実習を交えた講習。当協会員・商工会議所会員・商店街から43名参加。
 B 接客サービス講習会(H14-11-20長崎商工会議所ホール)
「ことばがモノを動かす」という演題で、講師に元民放女性アナの林田スマ氏を招き、言葉の持つ重みについて講演していただいた。同氏自身が消費者として体感されたこと、例えば、「物を買った時に販売員がかけた言葉は、お客様がその商品とセットにして持ち帰るものだ」ということなど、有益な話を多く聞かせていただいた。80名が参加。  なお、上記のうち、「接客サービス講習会」は、平成12年度以降、長崎商工会議所、長崎市商店街連合会、日本販売士協会の三者の協力をうけて、年1回継続実施している。
 また、同様に平成12年以降、年1回の「視察研修会」を企画し、「小倉駅ビル」「マリノアシテイ福岡」など先進商業施設を視察することにより、日常業務に役立てるようにしている。
(4) 今後の方向性
§ 昨年の夏、日本販売士協会が全国の会員の協力を得て行った「販売士の知名度に関する調査」で、長崎県はその知名度が80%と日本一であったということから、当協会の活動が地域に浸透してきているとの評をいただき、労がむくいられた感がする。
 体験上私達のような、協会活動を活性化していくのにポイントとなることは、何よりもより多くの会員に委員会のような実際活動に直接参加して貰い、無から有を生み出し、創り出していく過程を体感して貰い、その喜びを知っていただくことが重要だと思っている。
 誰かが準備してくれたものとか、出来上がったものだけに顔を出していたのでは味わえない愛着とか達成感のようなものを体験して貰える筈だ。
§ 従って、今後の当協会活動においても、販売士検定対策講座の実施と合格率のアップに更なる力点を置いて、多くの会員に参加して貰えるような姿にしていきたいと考えている。具体的には夜間講座の継続実施を中心に、1級は登録講師主体で、2級は2級と1級の有資格者でチームをつくり、3級は登録講師に加え、有志に参加して貰う形でやっていきたい。 現下の長崎経済の状況は厳しいが、地域開発や基礎整備などもすすみつつあり、特に歴史的な資源も多く有する土地柄でもあるので、活性化できる可能性大と信じている。当協会が少しでもお役に立てればと考えている。
(石原 義曠 記)


新年度協会活動へ積極的にご参加をお願いします
会長 栗川 久明

 4月12日の平成15年度年次総会で、平成15年度活動計画が決まりましたので、日程のご予定をお願いいたします。
 平成15年度は、次の年4回の全体会議を計画しています。
 @ 年次総会  :平成15年4月12日 (土)
 A 夏季研修会 :平成15年7月26日(土)
 B 秋季研修会 :平成15年10月25日(土)
 C 新春懇談会 :平成16年1月24日(土)
 また、個別会議としては、昨年の「販売士検定受験指導研究会」を「1級販売士検定受験研究会」へ衣替えをします。また、「流通業支援プロジェクト」を新しくスタートさせます。個別会議の日程は次の通りです。
 @ 役員会議:毎月第2火曜日
(4/3、5/13、6/10、7/8、※8/5、9/9、10/14、11/11、12/9、1/13、2/10、3/9)、
麻生情報ビジネス専門学校144教室
 A 1級販売士検定受験研究会を、次の四つの目的で開催します。
 ・会員の販売士取得後の自己啓発のために、
 ・講師として検定受験指導の勉強のために、
 ・1級販売士検定受験の勉強のために
 ・2級販売士(1級検定受験希望者)の入会促進のために。
 日時:毎月第3土曜日13:00〜16:00 
(4/19、5/17、6/21、7/19、※8/23、9/20、10/18、11/15、12/20、1/17、2/21、3/20)、
麻生情報ビジネス専門学校144教室
 B 流通業支援プロジェクト
 会員へのアンケート調査結果、もっとも多かった要望が平日・夜間の個別会合と流通業支援の取り組みでした。そこで平成15年度は、「流通業支援プロジェクト」を毎月1回・第1水曜日の夜間に開催することにしました。
 毎月第1水曜日18:30〜20:30
(5/7、6/4、7/2、8/6、9/3、10/1、11/5、12/3、1/7、2/4、3/3)、
麻生情報ビジネス専門学校144教室
 C 広報委員会
会報「販売士・ふくおか」を年4回(5月、8月、11月、2月)発行予定。
 全体会議、個別会合へのできるだけ多くの皆さんのご参加をお待ちしております。また、協会の会報「販売士・ふくおか」に、会員皆さんの寄稿(文字数は800〜1,000字位)をお待ちしております。本年度も会員勧誘運動を口コミで行います。皆さんの知人で入会希望者がおられましたら、事務局にご連絡をお願いいたします。事務局より入会資料をお送りいたします。 以上、平成15年度の活動計画をのべましたが、それぞれ活気のある活動にしていきたいと思いますので、会員の皆さんの積極的なご参加をよろしくお願いいたします。




新年度に臨んで
副会長 石原 義曠

 私共の協会も今年は二年目を迎えます。
 発足した昨年は、お蔭様で初心が生む感動を数多く体験させていただきました。これも販売士というご縁で、本協会活動に携わることができたお陰だと思います。
 私にとって人生のすばらしさは、出会いのすばらしさだということを改めて感じた一年でもありました。何年か前に、ある著名な経営者の方からお聞きした話ですが「一生に出逢う人は20万人程度。そのうち二度以上逢える人は精々2万人ぐらいではないか。今のように変化の激しい時代を生き抜くためには、自分も日々変わっていかないといけない。そのためには、いろんな人から学ばせて貰うことが大切。だから、自分は5人/日以上異業種の人に逢うようにしている」といわれていました。
 まさに、私共販売士協会は異業種の方々の集まりでもありますので自分を磨き、成長させて貰う絶好の場ではないかということを実感しています。そして、今の自分がこのような恵まれた環境下にいられる巡り合わせに感謝しています。
 会員同士が、一緒に議論し勉強し合いながら活動することでお互いが一人の人間として、また一販売士としての成長を通して、当協会が目指している地域社会やその中での流通業界の発展に寄与できれば願ってもないことだと思います。何事も早く結果が伴えばそれに越したことはありませんが、私たちの活動は、夢や目的に向かっていく過程が楽しく励みになることが大切で、結果としてそのことが良い成果を生むのではないかと考えていますので着実に進んでいきたいと思います。
 ところで、今日のマーケットは物からサービス中心に変化してきていますので、経営の中での人の価値がますます増大するのは明らかです。流通業界に携わる私たち販売士は、このことをよく認識し合い相互に啓発し合って人材が育つ当協会の礎を築いていければと願っています。特に、人は他の経営資源と異なり長期に亘って力を発揮でき、しかも環境と努力によって、その力が無限に成長し変化にも対応できるすばらしさがあると思いますし、また、人はひとりひとりが知・情・意と個性、創造性をもつ唯一無二の存在であると思いますので、協会活動の中でもお互いを尊重し合い学び会い切磋琢磨していくことが大事なことではないでしょうか。是非、このすばらしい出会いの場でもある私たち福岡販売士協会の活動が二年目に向けますます活発になるようにしていきたいと思います。そのためにも、私自身も、自分が何をしたらよいかを常に問いかけつつ行動していきたいと思います。
 会員のみなさまのお力により、本年度事業計画をしっかりと実行に移していきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。


小売業をサポートする集団・専門家の派遣事業について
企画委員会
委員長 松本俊憲

 会発足時に企画委員長をお引き受けした際に、会のメンバーで多くの実務経験者が居られるリストを拝見する中で、其の方々が「知の集団」と成り、併せてプロの中小企業診断士諸先生方のバックアップ体制があれば二重構造体制で言下中小企業小売経営でのお困りの方々へのサポート体制の構築も期待してよいのではないかと心膨らませたものでした。
 さて、1年目は、福岡販売士協会主催、北九州市商工会議所協賛での「2級販売士受験講習会」を開催し人数は10名足らずでしたが、受験者全員合格の快挙をなし得た際のスタッフのご協力には本当に頭が下がりました。本業を持って与えられた分担の科目を再度整理し人に教え結果を出したご努力に敬意を表します。各担当責任者との縦横のメール連絡には栗川会長、石原副会長の並々ならぬご尽力とバックアップを戴きました。
 この1年間の会の全体運営がスムーズに経たのは両リーダーの一方ならぬご努力のお陰と感謝しております。同時に本年度も安心して思い切ってご提案いたします。一つの会の起爆剤的課題提案志向で会に刺激と適度な緊張感をもたらす狙いで我らの知の専門性を醸成し中小流通業に位置している多くの企業経営者のお役に立つべく、この消費不況を克服する上からの一投石足ればと高邁な事業課題を以下に掲げた次第です。
 題して「九州地区の中小小売業者に対して小売サポートをする集団。ニーズに対応した専門家の派遣事業」であります。事業とは「飽き」との戦いと申します。(商い・・・あきない)現場サイドがマンネリ化してくると現場風土は「飽き」の状態となり業績は低迷します。「必ず再生できます。ご相談ください」を将来のモットーとして本年度は掲げた課題に挑戦します。池邊副委員長、仙波敬子さん他若い会員の皆様の熱い提案課題であります。
 取り敢えず、この課題の第一ステップとして本年度は「販売士会員エキスパート」登録に尽力すべく、先ず、毎月第一水曜日 場所・麻生情報ビジネス専門学校 1号館・4階・144教室18:30〜20:30(第1回5月7日)で開催いたします。沢山の方の御出席を賜り成果有らしめたく存知ます。概略の「工程」は下記の通りです。  ・販売士会員エキスパート登録・・・毎月の定例研修打ち合わせ会出席者
 ・小売業へのPR      ・・・メニュー作り
 ・小売業者からの指導依頼  ・・・認知活動PR・H16年度以降
 ・エキスパート紹介     ・・・派遣体制
 会員相互の研鑚でエキスパート登録者の人材、能力の活性化が期待されます。今こそ、皆様方の力を結集し「知の集団結成」に挑戦しようではありませんか。どうぞ、ご参加を切にお願い申し上げます。
茲に、「福岡販売士協会企画委員会」観の「芯」を宣言します。一人では、数人では、結成できません。多数の知のネットワークを創ろうではありませんか。他人の力を借り、世の中のお役に立ち、専門性が磨かれて会の運営がスムーズに成り活性化が図られればこれ以上の喜びはございません。意のあるところをおくみいただき多数の御参加を切にお願い申し上げます。


今後の協会活動に思うこと

総務委員会
委員長 藤田 哲夫

 今年で福岡販売士協会活動も、会員の皆様方の温かいご支援、ご協力のおかげで2年目を迎えます。
 初年度の活動は手探り状態で、会長、副会長の強力なリーダーシップが無ければ、協会活動も頓挫したのではないかと考えます。そうした中で、懇談会の開催、研修会の開催等で一応の成果は有った、と考えます。又、会員活動も限られた予算の範囲での活動ですから、十分な活動は出来なかったのではないかと考えます。昨年の協会活動は、販売士相互の懇親、交流活動、と研修会等で販売士自身の勉強会を中心の活動でした。
 福岡販売士協会の今後の活動方向として、検討していく必要があると思うことが三つあります。
 一つ目は従来よりの活動で販売士自身の自己研鑽、能力アップと、販売士の裾野拡大という課題があります。
 二つ目は今後の活動範囲として地元の商業、小売業の皆さんのお手伝いとなる活動が必要ではないかと考えます。そのような活動を通じて、商工業者の販売士の活動内容が理解され必然的に認知されて行くのではないかと考えます。
 三つ目は販売士同士の自由な交流により、さらに販売士の輪を広げる必要があると考えます。限られた研修会、懇談会のみの交流に限定されるのではなく、ツールとしてEメール等を通じて、日常の社会活動の中で、会員同士が種々抱えている課題に対しての意見、情報の交換、疑問点の意見交換、あるいは趣味、スポーツ等を通じて、気が合った者同士の交流により、相互が自由に、気軽にやり取り出来るような環境整備が必要と考えます。
 そのためには福岡販売士協会のホームページの掲示板等の活用も必要と考えます。そのような活動を通じて福岡販売士協会の交流の輪と範囲が広がり、相互の結束も高まり、ますます活発な活動が出来るものと考えます。
 以上の点について今後、協会活動として検討をお願いして行きたいと考えます。


「流通業支援プロジェクト」成功に向けて

企画委員会
副委員長 池邊昌弘

 販売士協会が発足して丸1年が過ぎた。昨年はとにかく協会としての形を整えるための一年として、栗川会長を始めとする各役員や会員の多大なるご尽力や積極的参加のおかげで無事成果を出すことができた。初年度の活動としては成功したと言えるだろう。しかしながら協会に所属している全ての会員にとって、協会はどのように映っているだろうか?
 平成15年3月に実施された会員向けアンケートの回答結果がそれを明確に表している。95名のアンケート回答依頼に対し、回答は44名。回答率は約46%。回答率としては高く、会員の協会に対する関心の高さが伺える。問題はその回答内容である。回答から見られる内容は多岐に渡るが、特に多かったのは協会自体が流通業界にとってより意義のある存在になって欲しいということであった。言い換えれば2年目の協会が目指す道がここにあると言っても過言ではないと言える。
 協会発足当初、企画委員の一員として松本企画委員長と協会所属の会員で何ができるかということについて様々な協議を行った。その中で、まず必要なのは協会として何ができるのかを明確にすることだ、ということで意見は一致した。各委員の提供可能なスキルを明確にし、そのスキルに基づいて流通業界に対し協会ができることを明示する。そこで依頼される仕事に対し、該当スキルを保有する会員や会員内のプロジェクトチームに対し仕事を打診し、確実にこなしていく‥。この一連の流れが協会としての実績を重ねることとなり、より協会としてのブランド価値を高めることにつながる。そのような思いを松本委員長と共に持ちながら、実現できないままに1年が過ぎたのである。
 その状態を仙波さんの提案のおかげで具体化に向けて動きだそうとしている。本年度開催される「流通業支援プロジェクト」がそれにあたる。これはまさに各会員のスキルを明確にし、協会として流通業界に対し、できることを明示していくものである。まず各会員に対し、提供可能なスキルを明示して頂く事から始まる。一企業人として現場実務に携わっている人が多い当協会会員は、単なるコンサルタントとは異なる強みを持っているものと思われる。是非会員の皆様には御自身のスキルを生かす場を広く募るためにも別途企画予定のスキル調査に対して自信のあるスキルを明示して頂きたい。また、当然スキルを提供するのであるから、その提供者に対し別途メリットを提供する仕組みを考えていかなければならないとも考えている。これについてはプロジェクトとして会長と個別に協議していきたい。さらにスキル明示を通じて、各会員間の交流が深まるきっかけとなればさらに意義あるものになるものと思われる。
 2年目の今年こそ協会の本質が問われる年である。アンケートの回答にあるような理想的な協会に育てていくためにも、各会員の自発的参加、協力を是非お願いしたい。アンケートに回答頂いたような協会を作るのは役員でも各委員でもない、他でもない各会員の皆様自身なのである。企画委員の一員として私自身その仕組み作りの一助となれば幸いである。


総務副委員長として協会活動へ参加
総務委員会
副委員長 長沼玲子

 4月12日、平成15年の総会を終えて福岡販売士協会も2年目を迎えました。私はこの2年目に、総務委員会副委員長という大役を努めさせていただくことになりました。と言いましても、藤田委員長の足手まといにならないよう、私でできることを努めさせていただくという状況です。
 さて、その総務委員会副委員長の初仕事は、4月12日総会の名簿作りと、不足・紛失分の名札作りでした。今、改めて思い起こしてみますと、昨年の設立前の名刺交換会の時から名札はすでに用意されていました。そして、いつもあるのが当たり前のように思っていました。それが私の仕事となってはじめて、準備してくださった発起人の皆様方や役員の方々の目には見えない様々なご苦労を実感し、また深く感謝もしました。発足以来この1年、企画委員会に名を連ねたものの何もしなかった私ですが、今年は、このような目には見えない部分の役割を、精一杯努めさせていただくつもりです。協会の運営や、また新たな展開を迎える協会活動が、スムーズに進行していくように、私の小さな力ですがお役に立てればと考えております。
 ところで、今年は新しい取り組みとして「流通業支援プロジェクト」が発表されました。私は建築塗料業界に属しておりますが、こういう生産財業界におきましても、各メーカーはホームセンターなどを通して小売をいろいろと模索しています。直接消費者と接し、消費者の声を聴くことがより良い商品開発にも通じると考えるからです。商品の安全性・環境問題への対応・地域とのかかわり合いなど、小売業を通して得られる情報はメーカーにとっても貴重なものです。そしてその小売業の店頭を活性化させるための人材、ノウハウが多く内蔵されているのが販売士協会だと確信しています。会員の皆様の中には、教育・商品知識・マネジメントなど専門家の方もたくさんおられるかと思います。そういう方々と協会独自のノウハウをうまく活用・活動させていくことが今後の販売士協会の役割と考え、私も気を引き締めて協会活動に参加していくつもりです。


消費者が安心して買える食品を提供できるプロに
研修委員会
委員長 泉 亨


 現在、流通業は今だかってない厳しい環境下に置かれています。特に食品業界の場合、産地偽装、正味期限の改ざん、無登録農薬の使用、残留農薬、無許可添加物の使用問題、遺伝子組み換え食品等の諸問題を抱え、さらには、病原性細菌汚染による食中毒の多発等、【食の安全】は大きく揺らいでいます。
 このような状況の中で、製造物責任法を楯に取り販売者側には法的責任は無いと言ったことを、平気で云々する風潮が見受けられますが、果たしてそれで良いのでしょうか。販売に携わる一人一人が確かな知識、確かな目、確かな技術を身につけ、消費者が安心して買い物出来る売り場を提供する。それが今、社会的要請として販売員に求められていると確信を持って言えると思います。決して従来の販売のあり方に安住していられる状況ではありません。
 食のグローバル化は今後も益々進んで行くでしょう。日本国内で、さらに福岡県内で生活をしていながら、世界中の食品を口にすることが出来る便利な世の中です。
 しかし、それは言葉を変えて言えば、世界中の【食に関する危険】にさらされていることを意味します。一般消費者に信頼される販売のプロ、としての自覚を持ち業務に携わって行くには、今まで以上に幅広い知識とそれを知恵に替える努力が必要不可欠だと思います。この度、販売士協会の一員として仕事をさせて戴く機会を得ましたので、私の得意とする生鮮食品分野だけでなく、流通業全体に目を向けた新しい視点から勉強を続けて行きたいと思っています。
 ISO14001あるいは、ISO9001、HACCP、SQF等の国際環境規格、国際品質規格等の取得問題。国内においては、厚生労働省が食品安全基本法の制定、食品安全委員会の設置等により、生産及び流通の各段階で食の安全確保の枠組みつくり、農林水産省もその動きに呼応して、消費・安全局を設置する等、今年は【食品安全行政】の新たなる展開が期待される年となるでしょう。私達にとって学ぶべきことは多々あります。販売士の皆さんと親しく勉強出来る機会が多ければ多いほど、毎日が充実したものとなることを期待して!


スーパーには科学がいっぱい
研修委員会
副委員長 蒲池 彰

 何気なく、商品が並んでいるスーパーマーケットにはいろんな科学がつまっています。どんな科学があるか紹介しましょう。
 ホウレン草や大根が並んでいる青果売場。みずみずしいものには秘密があります。畑で収穫された時とできるだけ同じ状態にしようとある作業をバックヤードでします。それは冷水処理と呼ばれる作業です。ホウレン草などの葉野菜は流通過程で品温が高くなり「呼吸作用」が激しくなっています。呼吸作用が進むと栄養の減少、鮮度落ちが早くなります。それを防止するためにバックヤードで冷水につけて品温を下げ鮮度維持ができます。
 魚にドリップ(汁)が出ていないお店は冷塩水処理ということをしています。流通過程で余分に含んだ水分を海水と同じ濃度の冷塩水につけることで「浸透圧」の原理で余分な水分が抜け身がしまっておいしくなります。どちらもとれたての状態に近づけることでおいしい野菜、魚が提供できます。
 商品の並べ方も漫然と並べられているわけではありません。「磁石の原理」を利用しています。お客様を引き付けるために各コーナーは計画的に配置されているのです。販売士の方ならみんなご存知の4つの磁石が有効に使われているか近くのスーパーを覗いてみるのもいいでしょう。
 レジ-で待たされた人も多いと思います。レジ-で取り組まれているのはレジ-1台当りのお客様が何人、通過できるかという「RE基準(リーゾナブル・エクスペンタシィ)」という基準を設定してレジ-の配置人数を決めています。目覚しいのはPOSシステムの発達でしょう。販売時点管理システムと呼ばれ、高度なものは自動発注システムに連動しています。通常のレベルでもバーコードを読み込むことによっていろんなことがわかります。何がいつ、いくつ売れたか大分類、小分類、アイテムのレベルでわかります。本来の使い方ではありませんがレシート無しの返品がきた時に、そのお店で販売履歴があるかどうかの検索もできます。FSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)と呼ばれるシステムを導入している企業ではお客様の購買履歴を蓄積することによって購買金額の多いお客様を優遇する政策を取っています。
 スーパーの事務所の中を見ると何台もパソコンがあるのをみることができます。その他、照明等でも工夫がみられます。スーパーには意外と科学がつまっています。


お客様へのお役立ちに必要なこと、社内をあげて
コカ・コーラウエストジャパン
1級販売士 牛黄蓍 哲

 現在の清涼飲料水業界は、消費が年間成長1%程度でほぼ横ばい状態の市場であり、当分は不況の底から好転する兆しもありません。そのような市場にさまざまな飲料メーカーによる、さまざまな清涼飲料商品が市場にあふれています。各メーカーとも販売シェアとボリュームアップに熾烈な競争に明け暮れている毎日ですが、私たちの営業担当者もさまざまな工夫をしながら活動をしております。
 お客様(販売員の方、また直接に生活者の方々)にとって、どんな活動提供がお役にたつのか?その活動の差別化が競争に打ち勝つ一つでもあると考えています。社内の商流担当者(提案営業活動をする者)には、すでに数年前から「販売士の学習」を推奨し、その内容をお客様との接点活動に活かすようすすめてきました。3級、2級、1級と段階を追って資格取得も進めてきました。その取得の自信が、いままで以上にお客様にお役立ちすることができる活動内容に繋がっていると聞きます。
 今年は3級販売士の社員100余名5年目の更新講習会を受けました。さらに現在では、今年10月の「2級販売士」資格取得試験に向けて5つの事業所が全員学習中です。お客様への活動を通じて学習内容も理解でき、さらに身につくと好評でもあります。楽しみを持ってこの販売士学習の支援活動をしています。