会報第7号

もくじ
平成16年度 年次総会 開催
協会活動への積極的参加をお願いします
成長・発展への節目の年を迎えて
ご挨拶
究極のサービス業「愛情快互」・・・訪問介護事業ビジネス
販売士協会の活動を通じて
研修副委員長として活動参加するに当たって
企画委員長として
企画副委員長として
一級販売士として
消費税総額表示について
経営革新と販売士の役割
日本の文化を見捨てるのか
講演会要旨「食の現状を検証する」
NTT西日本マガジン・西広場より転載



〜平成16年度 年次総会 開催〜

 日 時  4月24日(土) 14:00〜17:30


 場 所  福岡商工会議所


 第一部  総会議事  14:00〜14:30
 第二部  講演会 14:45〜15:45
   ・演題:「食の現状を検証する」
   ・講師:福岡販売士協会  泉 亨 理事


 第三部  懇親会 16:00〜17:30


 3年目を迎えた当福岡販売士協会の平成16年度の年次総会が、4月24日(土)の午後、福岡商工会議所内において開催されました。
 当日は、事業年度初めの多忙な時期にも拘らず来賓として、福岡商工会議所の久保部長様並びに今年度から長崎販売士協会の副会長に就任予定(5月20日付)の冬木・吉岡両理事様にもご参席をいただき、当会員27名が出席しての総会になりました。
 今年度の総会は、さすがに過去2年の活動実績により会員間の交流も深まってきたこともあって、率直に議論がなされのが印象的で、今後に向けての発展への期待が大いにふくらんできた感がありました。特に、懇談会時の話題に挙ったことのひとつに、会員数の堅調な伸びに対して今次総会等全体会合への会員出席率が依然として低い現実に、どう対応していったらよいのかという問題が論じられました。
 因みに、現時点での当協会の会員総数は正会員で昨年度より3名増の96名、賛助会員が1社増の5社と全国の中でも有数の大規模な協会になりつつある反面、今次総会への出席会員数はその1/3弱の27名にとどまった点にありました。この問題の背景には流通業に従事されている方々が多いため土日の勤務は外せないなど種々の事情が内在しているものの解決すべき重要な課題であるため、今後更なる検討を加えていくことになりました。
 なお、今次総会の第一部から第三部までの概況は以下のとおりですが、講演を担当してくださった泉亨理事の聴き応えのあるお話と、司会を務めていただいた佐田智彦会員のメリハリの利いたすばらしい進行により限られた時間でしたが、大変に充実した内容で終えることができました。

<第一部 総会議事>
 定刻の午後二時に始まった総会議事では、冒頭に栗川会長から3年目に向けての決意とこれまでの活動を踏まえて「会則変更」、並びに「15年度活動報告」「16年度活動計画」等の議案が資料に基づいて提起され審議の結果、出席者全員の賛同を得て了承されました。
 また、「15年度会計報告」について小野・濱村両監事による監査結果の報告があり「16年度予算」と合わせて、いずれも全会一致で承認されました。
 なお、本会報では議事の詳細は省略させていただきますが、当日欠席された会員各位には別途、総会議事関連の資料一式をお届けしますので是非ご覧下さるようお願いいたします。

<第二部 講演会>
 休憩をはさんで行われた講演会では、当協会理事で研修委員長でもある泉亨さんに「食を検証する」と題して1時間にわたる講演をしていただきました。
 泉さんは永年、食に関わる業界で活躍され、なかでも精肉バイヤーとして国内はもちろん世界各地を訪れて見聞を広められ、近著に業界でのベストセラーとなった「ミート読本」があります。また、業界内では後進の指導をはじめ社員教育の面でも食肉の専門家として名を知られ、62歳の今なお、第一線で活躍されています。
 講演内容は別掲のとおりです。

<第三部 懇親会>
 和やかな雰囲気いっぱいの懇親会では、来賓の福岡商工会議所企業研修センター部長の久保文敏さんから当協会への期待を込めた激励のご挨拶、同じく来賓の長崎販売士協会理事の吉岡英春さんからも同協会における現況と私ども福岡販売士協会に対するエールを贈っていただき、当協会前理事の松本俊憲さんの乾杯の音頭で歓談に入りました。
 歓談の途中、当協会発起人のひとりとして、また発足時から今日まで役員の中枢としてご尽力され本総会をもって退任されることになった前理事で総務委員長の藤田哲夫さん、同じく発足直後から企画委員長として力を尽くしていただいてきた前理事の松本俊憲さんのお二人からこれまでを振り返っての挨拶があり、皆さんからねぎらいの言葉がかかっていました。また、新たに会員となられた賛助会員の第一警備保障(株)様を代表して西岡正司さん、正会員で入会された田中直人さん、来賓の長崎販売士協会理事の冬木繁雄さんなどにも次々に司会者から指名がかかり、それぞれが思い思いの楽しい話題や頼もしいお話などをしてくれていました。
 なお、歓談の合間には思いがけなくも、本総会で新たに理事に就任された岡野卓也さんから自社商品でもある今人気のサーティワンのアイスクリームが全員に差し入れられるなど素晴らしいハプニングもあったりで盛り上がりました。
 こうして、歓談も尽きることがありませんでしたが今年度の総会の最後は、石原副会長から「世相は不安いっぱいの時代かも知れませんが、今年は私たちにとっては3年目という節目の年。成長・発展のためには必ず乗り越えなければならないハードルでもあるので、希望と勇気をもって臨んでいきましょう」との挨拶があり、全員の気持ちをひとつに願いを込めて一本締めで散会しました。
           
石原 義曠



協会活動への積極的参加をお願いします

会長 栗川 久明

 新緑の候、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
 4月24日の平成16年度年次総会は、福岡商工会議所・久保部長・長崎販売士協会・冬木理事、吉岡理事のご来賓3名、会員27名のご参加を頂きました。
 当日は、第1号議案の「会則変更について」、第2号議案の「新役員体制について」、第3号議案の「平成15年度活動報告と会計報告について」、第4号議案の「平成16年度活動計画と予算について」提案どおり可決されましたので、ご報告申し上げます。

 平成16年度は、次の全体会合を計画していますので、日程のご予定をお願いいたします。
 @ 年次総会  :平成16年4月24日 (土)
 A 夏季研修会 :平成16年7月10日(土)
 B 九州販売士交流会へ参加:平成16年11月長崎市で開催予定
 C 新春懇談会 :平成17年1月22日(土)

 また、個別会合は昨年の「流通業支援プロジェクト」を「流通業交流会」へ名称変更します。
 個別会合の場所は麻生情報ビジネス専門学校の教室をお借りして、下記のように定例で行います。
 @ 流通業交流会は毎月第1水曜日18:30〜20:30
 A 役員会議:毎月第3水曜日19:00〜20:30
 B 1級販売士検定受験研究会は毎月第3土曜日13:00〜16:00
 C 広報委員会は随時開催で会報「販売士・ふくおか」を年3回発行予定

 全体会合、個別会合へのできるだけ多くの皆さんのご参加をお待ちしております。
 また、協会の会報「販売士・ふくおか」に、会員皆さんの寄稿(基本文字数は1,200文字位ですが長文も歓迎します)をお待ちしております。
 また本年度も会員の皆さんによる新規会員勧誘を口コミでよろしくお願いいたします。特に1級販売士にチャレンジの2級販売士のみなさんに「1級販売士検定受験研究会」への参加を呼びかけてください。入会希望者がありましたら、事務局にご連絡をいただければ入会資料をお送りいたします。
 以上、平成16年度の活動計画をのべましたが、それぞれ活気のある活動にしていきたいと思いますので、会員の皆さんの積極的なご参加をよろしくお願いいたします。


成長・発展への節目の年を迎えて

副会長 1級販売士 石原義曠

 私ども、福岡販売士協会もお蔭で3年目を迎えることができました。
 3年という年月は、何事においてもひとつの節目というか、成長・発展に向けての最初のハードルでもあるような気がします。先ずは、ここまで来たのだという感慨と同時に、いよいよこれからが本番なのだという思いがいたします。
 今、私たち流通業界に携わる者の置かれている経済環境は、わずか2年前の当協会発足時と比較してもその変化は著しく、意識の転換が必要ではないかと感じています。
 ヒト・モノ・カネ・情報・技術など、あらゆる面で国境を越えて行き交うスピードや量が一段と速くなり多くなってきているように思います。
 国際化の進展という姿が、本当にこの地においても現実のものとなってきたことを肌身で感じるようになってきました。福博の街中を歩くとそのことがよく実感できるのではないでしょうか。
 更に、域内の業況も12年ぶりにプラスに転じ、特に流通業は卸・小売とも大幅な改善をみせています。
 しかし、その一方で、国際化がもたらしたボーダレス社会の到来によって地球的規模での社会構造の変化も急速にすすみつつあり、世相という面では国内外を問わず、私たちがこれまで予測もしなかったような多くの問題を抱えた先行き不安いっぱいの環境下に生かされているような感じがいたします。まさに、これまでの知識や経験が通じない未知への対応力が必要な時代がやってきているのだと考えます。
 作家の五木寛之さんは、゛不安の力゛という著書の中で、「不安というのは裏返すと希望があるからであって、それは人々を支えていく原動力になっているのだ」という意味のことを言われています。言われてみると、私自身も何か志をたてて事に当たろうとする時は、確かに希望や期待をもつ反面、不安を抱いている自分がいます。そして、その目指すものが自分にとって大きければ大きい程不安も募りますが、何とかしようと努力をしたように思います。
 幸い、当協会には強い志をもって日々の事に当たられている方々が多くおられることを知っていますので、その皆さんのパワーを十分お借りして是非、今のこの環境を前向きに受け止め、新しい3年目に相応しい活動をめざしていきたいと思います。どうぞ引き続き本年度もよろしくご協力の程お願いいたします。



ご挨拶

前総務委員長 
1級販売士 藤田哲夫


 福岡販売士協会創設以来、2年間総務委員長を努めさせて頂きましたが、この度、2年間の任期満了に伴い、退任させて頂く事になりました。
 在任中は皆様方の温かいご支援を頂きまして、大変有難うございました。
 総務の仕事は何かにつけ、全ての協会活動に関わって来ますので皆様が気付かれない所で、パワーと色々気苦労が多いものです。そういう意味からも後任の蒲池委員長、長沼副委員長を宜しくご支援ご協力お願い致します。
 今回、役員は退任させて頂きますが、一会員として都合が許す限り各会合には出席させて頂く予定ですので、今後とも宜しくお願い致します。
 思えば、協会の設立当時は、現会長の栗川さん、既に退任された元研修委員長の金子さん、と私で福岡販売士協会の設立準備をして来ましたが、栗川会長は言うに及ばず、特に金子さんは設立時には大変ご尽力された方です。金子さんと私二人で九州の販売士協会では先輩格になる、長崎販売士協会様を訪問し、会長はじめ各役員の皆様より、協会設立のための手順、準備等のご指導を懇切丁寧にご指導頂き、現在の会則案を作成されたのも金子さんです。設立準備中は月に何度も打ち合わせを行い、皆様方のご協力でようやく平成14年4月に福岡販売士協会を設立した次第です。
 その金子さんも残念ながら事情があり、期中で退任されましたが、会長はじめこのような方のご尽力があったからこそ福岡販売士協会の現在があると考えます。
 設立以来、この2年間十分なお手伝いは出来ませんでしたが、この2年間はほとんどが会長を中心に活動して来ましたので、会長自身のご負担が最近増大しているように思います。今後、新役員体制になり、役員の方も若返りましたので新しい視点で各役員の皆様ご自身が提案し、全員の総力で協会活動を運営される事を期待しております。
 今後の協会運営のご提案として2つさせて頂きます。
 ひとつは販売士相互の交流の場は、現在のところ四半期に1回程度の会合又は研究会等への出席のみですが、これだけ情報技術が発達している社会ですから、会員相互のより密接、気軽な交流を深めるために、Eメールでの会員間の自由な情報交換、意見交換等も有ってよろしいのではないでしょうか。会員への種々の連絡もEメールを使えば、経費も安価で、手間も省けると考えます。特に事情がある方は別として、会員間のEメールの開示をご検討お願いします。
 ふたつ目は今までの協会活動は販売士相互の研鑚、親睦等が中心でしたが、それはそれで意義があることですが、今後は商工会の方々への講習会開催、支援等の活動の輪を広げて行くことも必要ではないでしょうか。
 このような活動の範囲を広げる事によって福岡販売士協会自体の認知度も高まり、存在意義が増すものと考えます。
 以上の事は私が在任中具体化出来なかった事でも有りますが、新役員体制になり新しい視点で福岡販売士協会の活動、運営が活発化されることをご期待致します。
 大変お世話になりました。又、会合等でお会い出来る日を楽しみにしています。 ありがとうございました。


究極のサービス業「愛情快互」・・・訪問介護事業ビジネス

前企画委員長 1級販売士 松本俊憲

 福岡販売士協会設立(H・14・4・13)後丸2年が経過した。
 その間、企画委員長の役割を頂戴して以下の推進に努力した。
 @ 2級販売士受験講習会開設
 A 「流通業事業支援派遣専門家集団の構築のために」の提言
   (具体的には、流通業支援プロジェクトで展開中)
 特に2項については、体調不良のため栗川会長に全面的に御尽力を戴き活動が有意義に展開され「知の集団」としての結束が図られつつあり地道に会合が開催されております。感謝の気持ちで一杯です。
 会発展のために何一つ活躍できず申し訳なく深く反省をしております。
 これからは、会員として会の発展に努力いたします。皆様の一層のご指導を宜しくお願いいたします。
理事を退任するに当たりまして、販売士1級取得者が介護保険活用ビジネスに取り組んでの事例を取り上げました。民間活力を前面にだしたサービスの質の向上を目標として、医療のバックアップの無い事業者の孤軍奮闘結果得られた顧客獲得の基本的考え方の一端を少し記して感謝の意を示したいと存じます。併せて、とかく販売業に終止される販売士の活用分野を多方面に拡大していただきたく願うものです。
 販売士としての役割を原点に戻って考えたときに究極的にはマーケッテイングつまり顧客志向での顧客満足の最大化の追求に他ならないわけでその事例として、過去7年間にわたって取り組んでまいりました介護保険活用ビジネスについて情報提供致したく少し述べてみたいと考えました。
 販売士1級取得者は小売業をサポートする専門家であり小売経営でお困りの方への経営サポートする上での経営診断員でもあります。
 この視点から公的介護保険法に則った「介護事業ビジネス」での経営課題は列挙すると以下の事項を挙げることが出来ます。
 先ず、前提として、サービスを受ける利用者(要介護認定者)とサービス事業者との相互契約によってサービスが提供されます。(介護保険法に基づいてサービス提供者と利用者間で)従って、訪問介護を事業化する際には、利用者の選択に委ねられた市場競争の中で「選ばれる事業者」になることが必要なのです。下記の視点から綿密な事業計画を立案しなければなりません。
 こうした経緯を辿りながら、最優先課題は利用者の信を得た利用者獲得です。
 @ 利用者獲得
 A サービスの質の向上
 B 人材育成
 C 事務作業の効率化
 D 提供するサービスの複合化、連携化(医療・保険・福祉)、ソフトとハードの整合性
 E 他の介護事業者との連携、地域インフォーマルの取り入れ
 F ケア―マネージャーの能力、介護援助者の能力、利用者、家族との協力
 G 介護訴訟
 H 経営統合と業種再編成、統合化経営戦略と全体戦略の構築
 統合効果を早期に立ち上げうるか?が課題。
 以上の課題の中にマーケティング上の普遍の価値が動きの中にある。
 マーケティング志向をトライアングルで考えた場合、独自能力と持てる商品の組み合わせで狙いの客をどうするかが常套の経営課題でありましょう。
 茲で言及したいのは、狙いの客である高齢者市場の量と質の確認である。
 小売市場での経営課題は市場での付加価値販売高の極大化であり個別潜在需要の飽くなき掘り起しであろう。つまり良い商品(受け入れられる商品)と良い販売手段であればマーケットを推定する可能性は大である。しかしながら高齢者市場についても同じ視点で考えていいのであろうか?ヘルパーという専門サービスを投入すればよいだけにはならない。つまり、狙いの客の個別化と投入経営手段の個別化のぶつかり合いの中で惹起するゲームとも言える。
 対象である高齢者の全人格を察知し複雑な心理状況を含んで事前にサービスを展開する。机の上での分析的な手法は何の役にも立たない。
 兎に角、トライ・アンド・エラーでどんどん動いていく事によって利用者から見た事業所の普遍の利用価値(事業コンセプト)の根幹が見えてくる。トライ・アンド・エラーの中でしか事業を展開することが出来ないのである。
 つまり、 利用価値 ≧ 期待価値(想像価値) 有効
この成果の判定は、利用者個人個人の判定に委ねられます。求めるものの価値が物の介在で感情の無い取引で成立し、その橋渡しに無形のサービスが介入する販売上の取引のそれではなく、そこに人間対人間の感情起伏を含んだ人間サービス取引の原点があるのです。
 その方の人生そのものを受容し支援するサービス精神がもとめられる。難易度の高いサービス形態が要求されるだけに究極の差別化戦略の経営課題となり行き着くところ限界の無い無限の課題の渦に巻き込まれる。
 結論的には「選ばれるサービス事業者になる為には、良い介護現場は良い介護力でなく、良い介護関係の構築」
 一人の利用者をきちんと看ることは、その人の人生を背負っていくことの重みを自覚して、我々は誰よりもその言葉の重みを感じているからこそ納得のいくまで働き続けるのである。如何に時間と労力が掛かろうとも。
 事業の成果、成長は客の求める期待に如何に応じ得るか、この度合いで信頼が始まるという大原則に戻ることが涵養であろう。


販売士協会の活動を通じて

前企画副委員長 
1級販売士 池邊 昌弘

 この度、転勤及び期間満了に伴い福岡販売士協会の副委員長の役を辞任させて頂くこととなりました。任期として頂いた2年近くの間、会員の皆様にお役に立つ活動が十分にできず大変申し訳なく思っております。どちらかと言えば企画をするというよりはむしろ協会を通じて様々な経験をさせて頂いたことの方が多いのではとも思っております。思えば、北九州で2級販売士講座の講師をさせて頂いたことや協会内での勉強会で流通業界の情報化についてご紹介させて頂いたこと等が私にとって協会での良い思い出となっております。
 私事ですがこの4月より東京へ転勤となり、九州勤務時代同様流通業界向けのIT化提案(SCMプラットフォームの構築。具体的には物流管理システム・受発注システム・EDI関連インフラ構築等)という仕事を行うことになりました。担当する顧客にも九州時代とは異なり大手企業の名前も加わり、まさに大市場において流通業界のトレンドとも言える仕事をさせて頂くことになります。赴任から約一ヶ月経ち、早速東京という大市場でいくつかの顧客を訪問して参りましたが意外や意外、いくら東京とは言っても全てが最先端というわけではなくまさにこれからという会社も結構見受けられました。つまり流通業界のノウハウがあればあるほど、仕事は無数にありそうな状態です。(もちろん競合も多く、そんな甘いものではないと思いますが‥)
 市場はまさにノウハウ合戦という様相を呈している中で、ノウハウ吸収の良い機会であった福岡販売士協会から距離の関係上縁遠くなってしまうことは大変残念ではありますが、引き続き会報等より、より現場に近い情報を吸収させて頂きたく思っております。また、私の方でもこの東京地区で協会にお役に立つような情報を探して参りたいと思っております。是非会員の皆様も、積極的に協会活動に参加して、参加者同士で情報交換をして頂き業界に対するノウハウをさらに蓄積されてみてはいかがでしょうか?
 最後ではございますが、会長を始め会員の皆様のさらなるご発展・ご活躍を祈念いたしまして、本寄稿を終わらせて頂きます。2年間本当にありがとうございました。


研修副委員長として活動参加するに当たって

研修副委員長 中小企業診断士
1級販売士 道津敬文

 このたび、研修副委員長・理事として新役員体制の中に名前を加えていただくことになりました。以前から、当協会の活動には何らかの形でご協力できればという気持ちだけはあったのですが、受験勉強(中小企業診断士)にまずは専念、というのを言い訳に積極的な参加はしていませんでした。幸い、受験生生活にも一応の区切りをつけることができ、土・日主体の活動なら私なりに協会の活動に少しでもお役に立てるのではないかと思い、栗川会長からのお話をお引受するにいたったわけです。
 研修委員会の活動としては、「1級販売士検定受験研究会」がその主なものです。その目的としては次の4つが挙げられています。
 @会員の販売士取得後の自己啓発のために
 A講師として検定受験指導のために
 B1級販売士検定受験の勉強のために
 C2級販売士(1級検定受験希望者)の入会促進のために
 ここで、この4つの目的についてそれぞれ「だれのため」かについて考えてみようと思います。つまり、研修委員会を「お店」に例えると「対象顧客」はだれなのかという話です。@Aは1級販売士の会員が対象ですね。Bはこれから1級合格を目指そうという2級販売士の会員ということになります。それではCは?これは福岡販売士協会だと思います。1級合格を目指す2級販売士の入会が増えるということは、当協会の発展・活性化につながるという図式です。
 改めて申し上げるまでもないのですが、1級販売士の試験は範囲が小売業経営全般にわたっており、かつ内容も深くつっこんだものです。計画的・継続的で地道な学習が必要なのはもちろんですが、ポイントを押さえた効率的な学習をしないと遠回りになることも事実です。この「1級販売士検定受験研究会」が、計画的・継続的な学習そしてポイントを押さえた学習をサポートすることができればと思っています。
 一方で、私はこの受験研究会が単なる受験ノウハウの伝授や情報交換の場だけで終わらせたくないとも思っています。合格者が出ればそれでOK、ではないと思っています。もちろん、ひとりでも多くの合格者を出すことを具体的な目標として掲げることは重要ですが、それは目的の中のひとつ、つまり上の目的で言えばBですね。
 上の@〜Cの目的をじっくり考えていくと、この受験研究会の方向性が見えてくるような気がします。その際に重要なのは、受験研究会の活動を進めるうえで、それはだれのためなのか、どういうふうに役に立つのかを考えることだと思います。そういう視点で考えると、上の4つの目的は、
@1級販売士会員のレベルアップが図れる。
A対外的にも評価される講師を育成できる。
B多くの合格者を輩出することで当研究会・当協会の評価が高まる。
C新規会員の獲得ができる。
と読み替えることもできます。
 こう見ていきますと、結局は「福岡市販売士協会の活性化・発展」にまとまりそうですが、これは一人一人の会員にとっても参加意識・貢献意欲の向上につながりますので、協会・会員の双方にとってプラスになるという良好な循環が形成されると思います。そういう意味で、私自身この研修委員の活動が非常にやりがいのある仕事だと考えています。
 1級販売士検定受験研究会の活動としては、5月15日を第1回として毎月第3土曜日13〜16時に過去問研究を中心に行っていく予定です。具体的な進め方については、前年の活動実績を参考に試行錯誤も交えて、泉委員長と検討していきたいと思っております。本年度は2級販売士の会員の方が16名と増えて活発な活動が行えそうです。皆さんの積極的なご参加、貴重なご意見などお待ちしております。


企画委員長として

企画委員長
1級販売士 渡辺 芳雄

 このたび企画委員会の業務を担当させて頂くことになりました。不慣れと力不足とで不安だらけですが、2年間の任期を全うすべく努力して参りますので、皆様のご指導・ご支援を何卒宜しくお願い申し上げます。
 次に簡単に自己紹介させて頂きます。
 1947(S22)年3月生まれで、いわゆる団魂の世代の第一走者です。東京の下町、北千住(昔の日光街道の最初の宿場町)の出身です。家内が博多の人間でして、1985(S60)年3月以降、福岡の住人となっております。
 趣味は旅と登山と写真です。これまでに旅したのは全国47都道府県のすべてと、以前仕事でドイツ(フランクフルト)に1年半程居りました関係でヨーロッパは12ヵ国、登山は(と言う程ではないのですが)日本百名山は12座、九州百名山は55座と言ったところで、定年後に各々、数を増やしていきたいと思っております。写真は旅に関連したものですが、昔はSLをはじめ鉄道の写真が主流でした。
 1970(S45)年4月に航空会社に入社しましたが、入社式の確か前日(3/31)に、日本で初の゛よど号ハイジャック事件゛がここ福岡で発生した関係で、入社式も何か騒々しくて落着かない雰囲気でした。又、この4月の羽田での入社研修中に日本に初めてのB747・ジャンボ機が飛来してきまして、5F建てのビルの高さに相当するその高さとその大きさにびっくりしたことが思い起こされます。 入社後11年間、航空貨(AIR CARGO)分野の中で、いくつかの業務を体験してきました。
 その後、家内の実家の関係もあり「月のマーク」のメーカーの販売会社に移りました。既に20数年経過しましたが、販売会社にも拘らず、先の約半分を人事・教育に携ってきたというキャリアの持主です。
 60才の定年まで余すところ3年を切りましたが、この4月から5月にかけてこの年になって初めて新入社員の入社研修を直接担当することになりました。「教える事は学ぶ事」「教えるためには、その何倍も勉強しなければならない」などとよく言われますが、その通りでして、額に汗する日々が続いております。しかし「不易流行」ではありませんが社会人として、あるいは物の考え方等、基本はいつまでたっても変わらないものだと、私自身これまでの棚卸しさせてもらっています。又、最近では世界的な流れであるEPS(イコール・パートナーシップ)の影響で法的にも男女の差別が許されなくなってきましたが「フレッシュマン」は「フレッシャーズ」に「ビジネスマン」は「ビジネスパーソン」にと頭を切り換えも要求されてきています。
 最後に私の関わるトイレタリー(家庭用品)業界をみてみます。
 この20数年間で他の業界と同じく、企業を取り巻く環境が大きく変化してきております。
 ・市場環境‥‥ここ5~6年人口は微増、生活必需品であるため、数量は毎年1〜2%の伸びがありますが、デフレが進行し、金額面では毎年前年を下廻っています。
 ・小売業の動向‥‥@ 売上の上位チェーンへの集中化 A 店舗の大型化とオーバーストア化による価格競争の激化 B 小売業のグループ化と業態間同士の競争 C GMS後退の一方、DRUG,HC/DSの躍進 D 外資小売業(世界のBIG5)の日本進出  ・卸売業の動行‥‥メガ卸の出現(パルタック、あらた、花王販売の3強の戦い)
以上のようにトイレタリー業界ひとつをとってみても、大きく変化していきます。
 このような流通全般の激しい変化を読みとりつつ、福岡販売士協会として、どんなことをしていくことが求められるのか、皆さんのご意見を聴かせて頂き、より充実したものにしてく一助となれたらと願っております。
 思いつくままに書いてしまいました。つたない文章をお読み頂き有難とうございました。


企画副委員長として

企画副委員長
2級販売士 岡野 卓也

 まずは自己紹介致します。1955年7月26日生まれ、現在48歳。出身は広島県因島市、瀬戸内海にある島育ちです。高校まで島で過ごし、大学は東京に出ました。卒業後洋菓子業界に入り、百貨店での販売業務を経験しました。初めてのクリスマスセールで発注を失敗し非常に多くのロスを出しまして、嗜好品の販売の難しさを経験し、挫折致しました。その時、アイスクリーム専門店の存在を知り、ロスのない商売に驚くと共に販売する商品のユニークさに感銘し、転職を決意しました。
 それ以来約25年アイスクリーム業界で働いております。アイスクリームと云う商品は食べても、食べなくてもよい嗜好品の最たる食品ですが、誰もが好む食品です。当社のモットーは「We make people happy」です。アイスクリームを通じてお客様に幸せをお届けしましょう!という意味です。サーティワンアイスクリームの名前の由来ですが、本場アメリカ生まれの500種類以上ものオリジナルフレーバーから季節に合わせて常時31種類のアイスクリームを取り揃えております。毎日違う種類を召し上がっても一ヶ月間楽しめる事から、日本では「サーティワンアイスクリーム」のブランド名で展開をしております。人が嫌いな物を販売するのではなく、好まれるものを販売し喜ばれるすばらしいビジネスです。
 さて、私と販売士の関わりは、社内研修の一環で、当時のスーパーバイザーが業務レベルアップの為、販売士2級検定に合格するよう勉強したのが始まりでした。当時の総務部長の理解により、会社負担で研修会への参加も認められ援助も頂き、合格する事が出来ました。合格の翌年には給与が若干上乗せされ、喜んだ記憶があります。販売士1級へのチャレンジはその後いく度と無く気持ちは盛り上がりましたが、具体的に検定試験に臨む機会はありませんでした。職場も東京勤務から大阪、福岡、東京、福岡と移動するなか1級への挑戦もいつの間にか無くなっておりました。そのような状況のなか、福岡販売士協会の存在を知り、一年前より入会し現在に至って居ります。今年初めて1級の検定試験にチャレンジ致しましたが見事に不合格でした。毎月の勉強会には参加しておりましたが、それ以外は参考書を紐解く事もなく勉強不足のままぶっつけ本番に臨む状況でした。結果は当初より予測できたものですが、やはり寂しいものです。来年は少なくとも半分以上の科目が合格ラインに届くよう今から勉強を始めたいと考えております。
 又、今年から福岡販売士協会の理事に推薦され、企画副委員長に就任する事になりました。微力ながら協会活動に努力したいと考えますので、皆様方も積極的に協会行事に参加下さいますよう、この場を借りてご案内申し上げます。何事も自分から積極的に関わる事で何かが生まれるものです。時間の許す限り協会行事に参加しましょう。


一級販売士として

1級販売士 田中直人

 販売士制度について20年以上前から認識しておりましたが、「自分の仕事はアパレルメーカーの営業だから販売士には直接関係ないや」と思い全く興味を持たずに昨年まで過ごしてまいりました。
 実は昨年の我社の販売社員研修において私も営業所長として出席しておりました。「この中で販売士の資格を持っている人はいますか?」と講師の先生がおっしゃいまして、講師の先生がおっしゃるからにはそれなりの価値があるのだろうと思いました。
 現在の仕事の上でも、我社も卸売業よりも直営・百貨店の比重が高まっており、販売社員に対する教育や顧客に対するマーケティング活動が必要となっております。
 そう感じて勉強しまして昨年の7月に3級、10月に2級、今年の2月に1級と順調に合格することができました。講師の先生の言葉に触発されて受験した販売士でありますが、先日販売士協会の年次総会において、様々な諸先輩との面識を得、色々な業種の方とお話ができ、これからの自分のネットワークを広げる活動ができるのではないかと感じております。
 今後は販売士としての活動を通じて販売士の受験生の増加と販売士の地位向上に貢献することができればと思っております。今後とも皆様のご指導ご鞭撻をお願いいたします。


消費税総額表示について

広報委員 1級販売士 廣瀬紀子

 消費税法の改正により4月1日より「総額表示方式」が義務付けられるようになりました。この件について皆様はいかがお考えでしょうか?
 財務省は「消費者が払うべき額をはっきりさせ、買い物での混乱を防ぐ」と導入の狙いを説明しています。しかし、一消費者としてまず思い起こしてみてください。私たちが買い物をする時そのことで混乱した事がありますか? たまにはお金をギリギリしか持ち合わせてなくて、暗算ミスで「あら足りないわ」なんて事もあったかもしれません。でも、所詮払う額は同じだったのです。消費者としては、一円でも少なくこれが願いです。
 この一円でも安くを分析してみましょう。小売業に対して商品を一円でも安く(販売価格設定への努力を望む)、政府に対して消費税を一円でも安く(税率を上げるな〜!)、これが願いだったのではないでしょうか。税抜き価格表示と総額表示を比較すると、前者の方が消費者から見た場合望む対象がハッキリします。増税への布石との噂もここにあると思われます。小売業の販売価格設定への努力についてはどうでしょうか?一部、便乗値上げをしたり(下記の例)、販売額据え置きの量減らしという実質の値上げもあります。
 例:税抜き価格\9500(支払額\9975)⇒税込価格\10000
 消費者としては黙っていられません。しかし、小売業も今回の件ではいろいろ打撃があったのです。ここからは、小売業従事者&販売士としての意見です。
 小売業への負担を挙げてみると、販売価格設定問題、値札の付替え作業(人件費及び従業員への労働負担)問題、レジシステムの変更及びPOP・広告訂正(経費)問題等があります。価格設定問題では、某大手流通業者でも実質値下げをアピール。つまり半端な数字を使わず、税込みの総額が9800円、あるいは切りのいい1万円になるよう値下げする。少しでも割安感を出そうと工夫しているメーカーや流通業者には、かなりの負担が出てきます。利益を確保する為、そのままの価格で総額表示をした業者においては、消費者の目にふれる価格が非常に見づらい状態(1円単位にゼロ以外の数字がくるとちょっと半端な感じがするのは私だけではないですよね)。某100円ショップにしても店名と価格が違うといった何とも間が抜けた状態。挙げだしたら止まりません。
 みなさん、忘れずに流通業に関わる者としてこの問題をしっかり見つめていきませんか。いろいろ意見も持っている方いらっしゃると思います。各機会での意見をお待ちしています。


経営革新と販売士の役割

中小企業診断士 1級販売士 山崎良一
(山崎マーケティングコミュニケーション)

 ここ数年、業種を問わず「経営革新」と言う言葉が盛んに聞かれるようになってきた。この内容は大きく2つの要素で構成されており、1つには、「新たな商品、またはサービスの開発」にチャレンジすることであり、2つ目は、「新たな販売方法」の開発にチャレンジすることである。
 国が旗振り役となってこのような「新たな挑戦」を推進していこうとする背景には、多くの分野で「成熟化」が進んでいること、加えて業種・業界の垣根が低くなる「業際化」が進んでいることにある。従来の商品・サービスを、従来の手法で販売を行っても思うような成果は期待薄し難くなっており、逆に衰退することさえ珍しくない。このような閉塞状態を打破する上で経営革新は大きな役割を果たすと考えられる。
 そこで、販売士として経営革新にどのように関わるかであるが、販売士として重要な役割の一つである「販売力の強化」を考えてみた場合、新たな商品の開発と新たな販売方法の開発の両方を強力に推し進める動力源となる必要がある。  新たな商品の開発や新たな販売方法の開発、このことは即ち既存顧客に対しては新たな喜びや便益を提供することになり、ストアロイヤリティの獲得やリピート率の向上と言う成果が期待できるであろう。同時に新たな商品と販売方法は、自社にとって新たな市場(顧客)を獲得する強力な手段になるであろう。新たな商品の開発、または新たな販売方法の開発、のどちらか一方だけでもこれらの成果を得ることは可能であろうが、「売るものが異なれば、売る方法も異なってくる」、そしてその逆もある。
 自社に何をどの程度取り入れ、どのようなステップで推進していくか、これら設計図を創造していくことが販売士として求められる領域であろうと思われる。売上高が減少している、低迷しているなどの問題点があり、各種の「改善」を図っていても一向に改善しない場合、衰退商品分野である、衰退地域に立地している、などの構造的な問題であることも考えられる。このような場合、改善ではなく「改革」の必要があり、この見極めも販売士の果たすべき役割であろう。
 筆者は専門分野であるマーケティングを中心に、日々公的機関において、または民間企業直接にコンサルティング業務を行っているが、伸びている企業にはある程度共通の特徴があるように思えてならない。その特徴の一部を表すと、1つには、「経営計画を有し、定期的に見直している」、2つ目には「特徴のある商品を有している」、3つ目には「販売方法に特徴を有している」、が挙げられる。そして全ての経営者が「経営情報」に強い関心を持っていることも強調しておきたい。


日本の文化を見捨てるのか

顧問 1級販売士 石原 敏

 このところ不景気や飲酒問題、酒税のあり方や気候、果ては健康のこと迄持ち出して酒類総消費数量停滞の理由とされていますが、生活態様の変化、人口構造の歪みが消費動向に尚一層の影響を与えるであろうことを重視せねばならないでしょう。
 今回は紙数が限られますから皆様にほんの表面だけではありますが日本酒(清酒)の実態を見て頂いて、何故なのか、どうあるべきか、何らかの参考になったら、暇つぶしの題材にしてもらったら嬉しいなと思います。
 ものの本によりますと日本の酒いわゆる清酒としての澄んだ酒は400年前の慶長年間に大和(奈良)地方での寺院造酒に始まるとされています。ではそれ以前の酒はどの様なものであったかといいますと濁酒、にごり酒でアルコール分も5〜6度のものであったらしく九州では産地として小倉、博多、唐津、島原辺りが知られていたといいます。
 統治権力の定着拡大に伴い酒の特性に着目した為政者は政策の具として統制や徴税に利用するのを常套とする様になり、現在に至ってもその大筋は変わっていません。長い歴史を通じて為政者に盡くした日本酒は一体どのような栄枯盛衰の道を辿ったのでしょうか。S20年終戦後についてその有様を、最も信頼できる課税数量で表示してみましょう。
 終戦後殆んどゼロからスタートしS25年183千KLであったものが、戦前水準S15年の476千KLを回復してS30年にはビールを2位に従える507千KLに到達、国酒としてS35年751千KLと復興目覚しく、ビールと競争で拡張を続けたS50年には1,747千KL、これはS25年比9.5倍という盛況でありました。
 しかし天佑も神助もこれまで、ついに頭打ちとなり、以後は西日の落ちるのを眺める破目になってしまって、H13年は1,000千KLラインも下回り949千KLとS50年のピーク比54.3%の半分位の量まで縮小してしまっています。それでも未だ底が見えない惨状なのです。
 昔は皆さんの家の近くに何軒かは造り酒屋があったはずと思うのですが、今はどうなっているでしょう。S30年に4,021軒あった酒蔵がH13年には2,121軒これも約半分です。

清酒メーカー出荷数量表(平成14年)
ランク銘柄(社)数量(石)ランク銘柄(社)数量(石)
白鶴378,000月桂冠359,000
大関275,000松竹梅242,300
日本盛229,000黄桜158,400
菊正宗157,400白雪130,120
世界鷹127,50010白鹿121,000
11沢の鶴83,66312剣菱80,231
13清洲桜75,74114朝日山57,386
15福徳長52,78416富久娘43,000
17高清水41,77218菊水40,894
19爛漫40,58220多聞37,600
注、1石は一升瓶100本です

 実績は1〜10位群は前年比97.3%、11〜30位群は95.8%、21〜30位群は94.5%、31〜40位群は96.9%と、どの区分でも減少です。(九州の酒は28位に磯の沢、36位に鷹正宗あり)
 次に日本人は一体何を飲んでいるのでしょう。H13年成人一人当たり種類消費数量は全国平均で95.4Lとなっていますが多い順にビール系67.6L(ビール46.1L 発泡酒21,5L)清酒9.3L しょうちゅう7.9L リキュール4.5L 果実酒2.7L  ウイスキー1.3L その他2.1Lの並びです。やがて清酒としょうちゅうが入れ替わる日がやってくるのでしょうか。現に佐賀を除く九州全県、東京、山梨、埼玉、群馬、千葉、青森、北海道では清酒の方がしょうちゅうより下位になっているのです。(千葉は同数)
 日本酒と呼ぶのが悪いのか、清酒というのが判りにくいのか、地鎮祭の御神酒も婚礼の三々九度もだんだん怪しくなって来るようで、ブームだとか、幻だとか、グルメだとかだけに目を奪われ続ければ日本酒文化は自国民から抹消される危機に立ち至っているのではないかと心配しています。皆さんは如何ですか。
清酒を飲みましょう!燗して飲みましょう!
(数字は国税庁酒税課、業界紙データから算出)



講演会要旨「食の現状を検証する」

研修委員長 2級販売士 泉 亨

●検証1(大量生産・大量販売・大量消費・大量廃棄のツケ)
 本来、草食動物である牛に肉骨粉を与えて牛乳の大量搾乳を目論見、あるいは、増体率を良くすることによる経済性の追求をする。そのような試みが自然の摂理に反した行為であり、その行為が異常プリオンを生み出す結果を招き、狂牛病となって世界中を混乱に陥れました。大量の化学合成肥料を撒き散らし、大量の作物をつくりつづけた耕地が、やがては合成肥料に含まれた塩分に侵され荒地へと変化しています。中央アジアの一部にその実態が現れていることは周知のとおりです。タイ国では現在、海老の養殖が盛んです。水田が次々と潰されて養殖池になっています。しかし、2〜3年後には白斑病が発生し養殖池として使用できなくなることは必然です。海水の導入によって塩分に侵された不毛の土地は放置され、乱開発の原因となり負の遺産として残ることでしょう。世界中の穀倉として有名な、アメリカのコーンベルト地帯にも、今、異変が起きています。土地の人達が無尽蔵と信じて使い続けてきた地下水が枯渇状態を迎えつつあり、トウモロコシの不作が問題点として浮上してきています。家畜類は肥料として穀物を消費しながら成長しています。牛の場合、約1kg体重を増やすために7kgの穀物を必要とし豚の場合約4kg、鶏が約2kgを必要とすると云われています。今、これを基に世界中の家畜を穀物だけで飼育したと仮定すると、9億3千万トンもの穀物が家畜のために使用されている計算になります。世界の年間穀物生産総量は約20億トンと云われていますから、実に穀物の半数近くが家畜の飼料となっていることになります。穀物の生産には水資源が必要です。大量の穀物生産には大量の水資源が消費されます。極論になるかも知れませんが、飽食の先には環境破壊が待っている!と云っても決して過言ではないと考えられます。大量に生産され販売された食品は、やれ賞味期限だ、鮮度だと云った理由でいとも簡単に廃棄されています。そして生ゴミの大量発生は深刻な社会問題化しています。2001年に食品リサイクル法が施行され、2006年度にはゴミ排出量の2割削減が法的には求められていますが、2004年の九州経済白書によると、自社でリサクルを実施している企業のうち、外食産業では7.4%、小売業では12.4%にすぎません。現状において、食品リサイクル法は道半ばと云わざるをえない状況です。限りある資源の無駄使いが行われ、地球環境の悪化が進んでいる過程において、食の問題が大きく関与していることに危惧を感じるのは私だけでしょうか?
●検証2(食のグローバル化とリスクのグローバル化)
 福岡の地に住んでいながら、世界中のバラエティに富んだ食事を享受できる利便性は、また、食にまつわるリスクをも常に警戒していなくてはいけないと云った現実的問題にさられています。2004年3月に対メキシコFTA(自由貿易協定)が大筋で合意されました。これにより牛肉・豚肉・鶏肉・生オレンジ・オレンジ果汁の農産5品目が輸入されることになります。特にメキシコ産の牛肉と鶏肉に関しては日本人のほとんどが商品知識を持ち合わせていません。輸入食品で特に注意すべき点はやはり微生物の存在です。食品の低温流通が発達している先進国特有のリステリア菌食中毒は、欧米なみの菌が検出されているにも関わらず日本ではいまだ食中毒が発生していないのは不思議な現象だと専門家は云っています。いずれ大きな被害が出る可能性が高いと認識するべきでしょう。鳥インフルエンザも大きな話題となっていますが、家畜と違って鳥は各地をボーダーレスに飛び回りリスクのグローバル化に関与しています。現在は鎮静化していますが、サーズ禍も食のグローバル化を反映して世間を騒がせた一例です。ある限られた地域で慣習として食べられ続けてきた野生の動物は、知られざる微生物の世界です。そこからどのような災厄が発生するか、予測の出来ない恐さがあります。
●検証3(安全と安心に関する意識の強化)
 食品における安全性と安心感が、今強く求められています。これを確かなものにするには、(農場から食卓まで)言葉を変えて云えば(生産から消費まで)の一貫した食の流れを把握し、生産・流通・加工・最終加工の全てにおいて小さな汚れも見落とさないシステムの構築が大切です。最近、トレーサビリティと云う言葉が一般化されてきましたが、トレースフォワード、トレースバックと云った言葉が置き去りにされているような現状を見ていると、将来において必ずやトラブルが発生するのではないかと危惧されます。
 食の安全性は次々と現れる多様な危害要因にさらされています。その中で最もオーソドックスなものは食中毒ですが、微生物を原因とするもの、化学物質を原因とするもの、自然毒を原因とするもの等に分類されます。それ以外にも内分泌撹乱物質の問題、最新の科学的知見によっては無害とも云われています遺伝子組換食品(歴史が浅く長年にわたる検証がなされていない)の登場等、意識レベルだけでは解決できない不安感が増すばかりです。行政・事業者・消費者がそれぞれにリスク管理のあり方と責任の所在を明確にするべき時期に来ていると考えます。
●検証4(コスト意識と利益優先)
 日本食鳥協会は加盟生産者に対して鳥の飼育期間短縮を要請することにしました。生育を抑えた状態で出荷すれば流通量は実質的に減らすことが出来る上、卸価格の低迷から脱出することも考えられ、さらにはコストの削減にもつながります。全農が本部の事業部門や業務委託先等を対象とした食品表示の点検を行った結果、不適正な表示が約2000件以上あったことをみとめました。これは八女茶の虚偽表示問題で、農水省及び食糧庁から出された業務改善命令に基づいたものです。次々と表面化してくる偽装問題。後を絶たない偽装表示も売らんがため!儲からんがためと云ったコンプライアンス不在の姿勢が生み出したものと云え無くもありません。主役は消費者と云った発想が食品行政に欠けている上、事業者の自覚も無きに等しいと思われます。デフレ下における収益の悪化が目先の利益にこだわって偽装問題へと発展していく、そんなイージーな構図が見えてきます。
●検証5(続出する微生物による食の食中毒)  社会全体を揺るがすような食の事故が多発しています。病原菌を滅ぼす新薬品が開発されれば、それに耐性を持ったさらに強力な菌が産生されます。今だ開発され尽くされていない地球の一部には、原生、野生の想像もつかない微生物が存在していると云われています。しかし、一方では食中毒菌を15分で検出すると云った新DNAチップが開発されたり、O:157の毒素を1時間で検出する方法等、科学の進歩も日進月歩です。また、2003年には食品の安全確保を目的に、食品安全基本法が制定され、同じ年に内閣府において食品安全委員会が設置されました。年々多発している食品事故によるクレームの中で、微生物による事例が社会的に最も大きなリスクと云えますが、しかし、ここにきて行政、事業者を問わず真摯な取り組みが見えてきたように思われます。

NTT西日本マガジン・西広場より転載

1級販売士 中野法子

 販売技術や仕入れ、マーケティング、マネジメントなどの幅広い知識を習得し、多様化するお客様ニーズに的確に応えることができる人材を育成するために設けられた公的資格である「販売士」。最近では小売業や卸売業だけでなく、お客様起点の経営を実践する製造業やサービス業など、あらゆる業界において資格取得者が増加しています。今回は、平成15年2月に見事販売士1級を取得された中野法子さんにインタビューしました。

Q・・・販売士の資格を取得しようと思ったきっかけは?
A・・・ブロードバンド商品の販売支援を担当していたころに、職場の資格取得施策である販売士研修の参加者募集があり、「販売に関しての視野を広げられるのではないか」と思って受講したことがきっかけです。販売士には基礎的な知識と技術を身につける3級から、小売業経営に関する高度な専門知識を身につける1級まであるのですが、まずは平成12年に2級を取得し、そこから1年、2年と科目合格を積み重ねて、3年目の平成15年に1級を取得することができました。

Q・・・資格を取得したことで、ご自分の中で何か変化はありましたか?
A・・・資格取得を機に“お客様ニーズ”や“顧客満足”について深く考えるようになり、「お客様の要望は何か」「商品をどのように使っていきたいか」などを深くヒアリングしてから提案するようになりました。また、試験科目に含まれていた組織論やマネジメント論などを学んだおかげで、一社員としての狭い視野で業務をするのではなく、「この仕事がどう会社の経営に結びつくのか」「必要な成果を生み出しているのか」といったように、物事を幅広く見ることができるようになったと思います。

Q・・・日々の仕事の中で心がけていることは?
A・・・現在はNTTドコモ九州から受託している個人顧客への訪問活動業務に従事しているのですが、販売士の有資格者として「NTTドコモ九州を代表してお客様へのCS活動をさせていただいているのだ」という自覚を持って業務に取り組んでいます。

Q・・・今後の目標は?
A・・・NTT西日本グループのように大規模な組織に属していると、ともすれば井の中の蛙になりがちですので、私と同じく福岡販売士協会に籍を置いている有資格者の皆さんと積極的に異業種交流を行うことで、狭い視野にとらわれることなく、どんどん自分を磨いていければと考えています。また販売士としてさらなるスキルアップを行い、社内における販売士資格の認知度を上げ、資格取得の普及・啓発に努めたいと思っています。

Q・・・資格取得を目指す社員へアドバイスを
A・・・資格を取得することそのものが目的ではなく、なぜこの資格を取るのか、この資格を自分の成長にどのように活かしていくのかという具体的な目標を持つことで、学習意欲の維持と時間の捻出をすることが出来ます。「自覚が才能の芽を伸ばしていく」と信じ、あきらめずに何度もチャレンジすれば必ずよい結果が出ますので、ぜひ皆さんも粘り強くがんばってください。