【大学連携講座】福岡大学にて「小売の学びで”見える世界”が変わる」の講義を実施しました!(2026年9月28日)

2026年9月28日(月)、福岡販売士協会は福岡大学商学部と連携し、明神実枝教授が担当する「流通システム論」でゲスト講義を行いました。

講師は、当協会の理事で中小企業診断士の毛利裕之です。

商学部の学生約138名が対面で受講しました。

講義テーマ:「小売の学びで”見える世界”が変わる」

講義の冒頭で担当した毛利は、70分の講義で持ち帰ってほしいことを3つ挙げました。

いつものコンビニの棚が「読める」ようになる感覚(SEE)、どの業界に進んでも小売とつながる理由(CONNECT)、資格を取った後の使い方(USE)です。

「点」だった現場の経験が、販売士で「線」につながった

毛利も学生時代は、ほかの学生と同じように「時給のいいバイト」を探していたといいます。

年末のスーパーでの蒲鉾の補充、ドーナツ店での接客、コンビニの深夜勤務を経験し、社会人になってからは回路設計のエンジニアとして6年間働きました。

その後、通信会社の営業に移ります。

バラバラに見えたこれらの経験が一本の線になったのは、中小企業診断士の勉強の中で販売士と出会ってからでした。

「あのころ単純作業だと思っていた仕事は、すべて流通というビジネスの最前線だった」。自身のキャリアを振り返ったこの言葉は、多くの学生の心に残りました。

販売士は「接客の資格」ではなく「流通戦略の資格」

「販売士と聞いて、どんな資格だと思いますか」。

まず学生にこう問いかけ、販売士についてよくある誤解を解いていきました。

販売士の正式名称は「リテールマーケティング(販売士)検定」です。

消費者の動きを読み、数字と仕組みで売場を動かすための知識体系だと説明しました。

メーカー、小売、Web・EC、IT・物流と、どこに就職しても仕事の先には必ずお客様がいます。

そのため、販売士の学びは無駄にならないと強調しました。

レジの「ピッ」の向こう側と、買い物の「なぜ?」

講義の中盤では、POSデータやJANコードがお店の判断の根拠をどう変えてきたかを解説しました。

続けて「なぜレジ横に大福や乾電池があるのか」「なぜ卵1パック198円の赤字でもよいのか」「なぜ牛乳はお店の一番奥にあるのか」と、身近な売場の謎を一つずつ解いていきました。

それぞれの答えを、3級の「売場を見る目」と2級の「店と数字を見る目」の2つの視点で読み解いています。

さらに、隣の席の学生とペアを組む3分間のミニワーク「あなたなら、どう売る?」も行いました。

題材はコンビニの新作エナジードリンクです。

学生たちは「誰に売るか」「どこに置くか」「どんなPOPにするか」を考えました。

最後に「いま話し合った4つの問いは、実はすべて販売士の公式カリキュラムです」と明かしました。

2026年、小売業が向き合う変化と、AI時代の人の価値

後半では、統計データを使って小売業の現状を解説しました。

卸売業・小売業は売上高で全産業の26.9%を占め、日本最大の産業です。

そのうえで、パーソナライズ化、人手不足とAI活用、OMOの進化、サステナビリティという4つの構造変化を紹介しました。

AIは店頭の接客だけでなく、需要予測や在庫管理といった「見えないバックヤード」でこそ活躍しています。

だからこそ、データを読み解き、AIに何を任せるかを決められる人の価値が上がる、と説明しました。

あわせて、SNSの「1秒のフック」と売場のPOPは心理学的には同じ技術だと話しました。

ただし、売場の表示には景品表示法や食品表示法にもとづく法的な責任が伴います。

産地偽装の事例を紹介しながら、情報の裏付けを確かめる大切さを学生に伝えました。

ロールモデルの紹介とアクションプラン

講義の終盤では、7月の福岡工業大学での講座に登壇した当協会理事の山城朱理さんを紹介しました。

山城さんは大学在学中に販売士1級を取得し、いまは会社員を続けながらキッチンカー事業を営んでいます。

学生時代に取った資格がキャリアを広げていく実例として、そのあゆみを伝えました。

「資格そのものが内定をくれるわけではない。知識を使って行動し、数字を動かした経験を自分の言葉で語れることが武器になる」と語り、最後に「日常の買い物を、今日から生きた教科書にしよう」と呼びかけて講義を締めくくりました。

また、講義の中では福岡商工会議所から販売士資格についての説明もありました。

講義の様子と受講生の反応

約138名が集まった大教室で、学生の多くは熱心にメモを取りながら耳を傾けていました。

ミニワークでは、ペアで積極的にアイデアを出し合う姿が見られました。明神先生の日ごろのご指導もあり、どの学生も真剣に講義へ向き合っていたのが印象的でした。

受講生アンケートに寄せられた感想

講義後のアンケート(回答70件)では、「よかった」が63件、「まあよかった」が6件で、約99%の学生から肯定的な評価をいただきました。

授業の感想としても138件のコメントが寄せられ、約3分の2の学生が販売士という資格への関心や、受験したいという気持ちを書いてくれました。主な声を紹介します。

「普段何気なく利用しているスーパーの商品配置にも、売上を伸ばすための戦略があると知り、買い物の見方が変わりました。アルバイトでも、作業の意味や目的を考えて行動したいと思いました。」

「スーパーで品出しのアルバイトをしているので、とても理解しやすかったです。牛乳が奥にあることも意識していませんでしたが、お客様の動線を考えて置かれていることに気づけました。販売士の資格も取ってみたいと思いました。」

「販売士という名前から、販売や小売に関するものだと考えていましたが、流通やマーケティングなど様々な知識を含んでいると分かり、解像度が上がりました。」

「AIを使うだけではなく、AIを応用して新しい価値を見出せる人材が求められているのだと考えました。ぜひ販売士の資格に挑戦してみたいと思いました。」

「今回、話を聞いて、大学卒業までに販売士の資格を取ろうと思いました。」

「販売士検定2級を取得しており、現在、事業化を検討しているため大変参考になりました。変化の激しい流通業界に対応するために学び続け、資格を腐らせないように頑張りたいと思います。」

なかでも「現場の経験という『点』が、資格の学びによって『線』になり『面』になる」という話には、多くの学生から共感の声が寄せられました。

「バラバラだった知識がつながった」「バイトの経験も強みになると分かった」など、自分自身の学び方を見直すきっかけになったようです。

日常の景色を「学び」に変える若い世代へ

小売業はあらゆる産業とつながり、社会の中で大切な役割を担っています。

今回の講義を通じて、学生の皆さんが毎日の買い物やアルバイトの現場を「生きた教科書」としてとらえ、リテールマーケティング(販売士)への関心を深めるきっかけになっていれば幸いです。

福岡販売士協会は、今後も大学との連携講座を通じて、流通・小売業界を担う次の世代の学びと挑戦を応援してまいります。

最後に、このような貴重な機会をいただいた福岡大学商学部の明神実枝教授、そして熱心に受講してくださった学生の皆さんに、心より感謝申し上げます。