【流通施設見学会】水郷柳川で鶴味噌醸造・高橋商店を訪問しました!(2026年6月11日)
2026年6月11日、天候は晴れ時々曇り。株式会社大東エンタープライズ様のご協力のもと、福岡県柳川市で流通施設見学会(企業研修)を行いました。
訪問先は、味噌づくりの鶴味噌醸造株式会社様と、有明漬けとゆずすこで知られる株式会社高橋商店様の2社です。
午前11時に西鉄柳川駅をスタートし、17時の終了まで、学びと観光をたっぷり味わう一日となりました。

伝統の味を守りながら海外へ広げる、鶴味噌醸造
最初にお邪魔したのは、鶴味噌醸造株式会社様です。
堀沿いに連なる赤い壁の蔵は、国登録有形文化財の本社工場で、通称「並倉」と呼ばれています。
水面に映る蔵の姿は、水郷柳川ならではの風情でした。

【写真挿入:d3_image1.jpg/堀沿いに並ぶ国登録有形文化財の並倉】
同社の創業は明治3年。
ただし、本格的な味噌づくりが始まったのは明治24年から34年頃とのことで、会社概要の説明は皆さんの笑いから始まりました。
和やかな雰囲気の中、工場の見学へと進みます。
【写真挿入:d3_image2.jpg/味噌づくりの現場を見学】

【写真挿入:d3_image3.jpg/大きな釜で仕込まれる原料】

お話の中で印象的だったのは、経営環境の変化への向き合い方です。
売上のピークは約30年前で、国内の味噌消費量が減っている今、同社は海外取引で販路を広げています。
取引先は20数カ国、全体の約11パーセントを海外が占め、主な市場はフランスと台湾です。特にフランスでは、料理のソースとして活用され人気だそうです。
国内の味噌事情も教えていただきました。
全国では約8割が米味噌を中心としており、愛知県の赤味噌のように土地ごとの味があります。
九州は麦を中心に白味噌を合わせた味噌が主流で、味噌がその土地の風土によって違うことを改めて実感しました。
近年は店頭販売や通信販売も伸びています。
通信販売で人気なのが「相撲味噌」です。激辛、肉味噌、にんにくマシマシなど種類も豊富で、そのまま野菜につけても、鍋の味変に使ってもおいしい一品です。
ネーミングは、2011年に台湾へスタミナご飯として販売を始めたことをきっかけに、地元柳川出身の力士、琴将菊関にあやかってつけられたそうです。
名前も味もバツグンの愛称(相性)ですね。

【写真挿入:d3_image5.jpg/店頭に並ぶ相撲味噌】
さらに、RKBラジオでアイドルグループFRUITS ZIPPERの月足天音さんが相撲味噌を紹介してくださり、通販の注文が急増したとのこと。
同社の公式Xでは「うれしい悲鳴です」と反響が語られていました。
メディアでの紹介をきっかけに商品が広がる様子は、流通を学ぶ私たちにとって興味深い事例です。

【写真挿入:d3_image4.jpg/月足天音さんおすすめのPOP】

【写真挿入:d3_image7.jpg/鶴味噌醸造様の前で全員集合】
倒産の危機を乗り越えた、高橋商店の商品開発
続いて訪問したのは、有明漬けとゆずすこで知られる株式会社高橋商店様です。
粕漬けは江戸時代に魚介類の保存食として広まり、北部九州と北陸地方を中心に栄えたそうです。
呼び名は地域によってさまざまですが、同社では「有明漬け」のブランドで親しまれています。

【写真挿入:d2_image1.jpg/看板が目印の高橋商店】

【写真挿入:d2_image3.jpg/工場の見学風景】
現在は伝統の有明漬けを守りながら、新商品を次々に生み出し、地元柳川で急成長している企業です。
新商品の「ゆずすこ」は、九州名産のゆずこしょうから生まれた新感覚の液体ゆずこしょうで、原料はゆず皮、酢、唐辛子、食塩のみ。液体なので量の調整が簡単で、やみつきになる一本です。
この商品は、毎週月曜日の朝一番に全員で行う改良会から生まれました。
ゆずこしょうをスープに入れるとダマになる、スプーンで取ると衛生面が気になる、といったお客様の声を集め、皆で知恵を出し合ったそうです。
商品開発の責任者を置かず、全員で取り組む姿勢が「ゆずすこ」や「のりくろ」を生みました。

【写真:ゆずすこ、のりくろなどの人気商品】
商品開発を週1回の改良会にした背景には、2000年7月に大手取引先が倒産し、大きな被害を受けて倒産の危機に直面した経験があります。
事業を見直し、有明漬け以外の新商品に挑戦するきっかけになったそうです。
今では直販が全体の20パーセントまで成長し、工場直売店とともに好調です。
直売店は大阪や福岡市内からの日帰りバスツアーで人気で、お客様の約60パーセントがインバウンド、特にアジア、韓国、台湾の方々に好評とのことです。
取扱商品は280点、取引先は380社、海外では約30カ国に広がっています。
しかし、海外展開は最初から順調ではありませんでした。「ゆずとは何か」という説明からのスタートだったため、相手国でゆずを使った食の事例を紹介し、認知度を高める販路づくりに力を入れたそうです。
成功例の一つが、タイのファミリーマートでの取り扱いで、ゆずアイスクリームやゆずジェラート、ゆずラーメンなどが広く行き渡りました。
輸出の経費も大きな課題でした。海外取引には、日本製品をそのまま販売するMADE IN JAPAN、日本仕様で相手国で販売するMADE BY JAPAN、相手国仕様で相手国で製造販売するMADE BY THAILANDの3つの方法があります。
どの方法でも継続が大切だと考え、販売パートナー選びには慎重になったそうです。
社内では、電子日報や月1回の朝礼で、他人や他社を褒める習慣を取り入れ、風通しがよくなったとのこと。最後に、倒産の危機を乗り越えた教訓として「変化より進化」「進化は融合性」「そして人生をよりよいものに」という言葉をいただきました。

川下りと鰻の蒸籠蒸し、そして懇親会
研修の合間には、水郷柳川の観光の目玉である川下りも体験しました。
お城の周りを約30分かけて進み、橋の幅ぎりぎりをかすめたり、橋の下をくぐったりする船頭さんの見事な船さばきに、皆さん大歓声。
柳川の話に加え、おめでたいときにしか聞けない祝い歌も特別に聴かせていただきました。
インバウンドの状況や、流暢な英語のお話にも感心しきりでした。

【写真:船頭さん】

【写真:川下りを楽しむ参加者】
昼食は名物の鰻の蒸籠蒸しで、皆さん舌鼓を打ちました。

【写真:鰻の蒸籠蒸し】
その後の懇親会では、地魚の方言「ワケンシンノス」の話題で盛り上がりました。
実はイソギンチャクのことです。
意味はぜひご自身で調べてみてください。きっとびっくりしますよ。

【写真:懇親会の様子】
おわりに
水郷柳川の2社は、いずれも伝統の味を守りながら、海外取引など新しい挑戦を続けておられました。
事業展開の参考になる学びが多く、他の販売士の皆さまにもお伝えしてまいりたいと思います。
ご協力くださった各社の皆様、ご参加の皆様、本当にありがとうございました。

